【法改正速報】2028年4月からストレスチェックが全事業場で義務化へ|小規模事業場が今から準備すべきこと

2028年4月から、すべての事業場でストレスチェックの実施が義務化されます。

これまで、1事業場の労働者が50人未満の小規模事業場では、ストレスチェックの実施は「努力義務」にとどまっていました。

しかし、2028年4月より、労働者数50人未満の事業場にもストレスチェックの実施が義務化されることになりました。

「うちは10人くらいのオフィスだから関係ない」
「まだ2年先の話だから大丈夫」

そう考えている経営者・人事労務担当の方もいるかもしれません。

しかし、実は今からの準備が重要です。

ストレスチェックは、単に制度を導入すればよいものではありません。

受検システムの選定、実施者の選任、高ストレス者への医師面談、個人情報の取り扱い、職場環境改善への活用など、実務上の準備が必要になります。

特に小規模事業場では、従業員同士の距離が近いからこそ、結果の取り扱いや面談後の対応には注意が必要です。

「形だけの実施」に終わらせず、適切に運用するためにも、早い段階から準備を始めておくことが大切です。

この記事を書いた人

宮﨑徳仁
産業保健コンサルタント

医療法人愛光会 労働衛生コンシェル所属。

兵庫県尼崎市出身。2017年より産業保健業界に携わり、8年間で50社以上の労働衛生管理を支援。

年間200件以上の産業医面談を担当し、メンタル不調者対応や休職・復職支援を得意としています。

労働人口減少下での離職防止、メンタルヘルス対策、ハラスメント防止が不可欠と考え、

産業カウンセラーの資格を活かして人事労務担当者と伴走し、産業保健の視点から職場環境改善に取り組んでいます。

目次

ストレスチェック義務化とは?2028年4月から50人未満の事業場も対象に

ストレスチェックは、労働者のストレスの状況を把握し、メンタルヘルス不調の未然防止や職場環境の改善につなげるための制度です。

これまでは、労働者数50人以上の事業場では実施が義務とされ、50人未満の小規模事業場では努力義務とされていました。

しかし、法改正により、2028年4月からは50人未満の事業場にもストレスチェックの実施が義務化されます。

つまり、これまで「うちは小規模だから対象外」と考えていた事業場でも、今後はストレスチェックの体制整備が必要になります。

小規模事業場がストレスチェック義務化に向けて準備すべき3つの実務ステップ

小規模事業場がストレスチェックをスムーズに実施するためには、あらかじめ運用の流れを設計しておく必要があります。

ここでは、義務化に向けて押さえておきたい3つの実務ステップを整理します。

ストレスチェックの受検システムを選定する

最初のハードルとなるのが、ストレスチェックをどのような方法で実施するかです。

労働者がスマホやPCで手軽に受けられ、かつ安心して利用できるクラウドシステムなどを選定する必要があります。

このとき、コストだけで選ぶのではなく、操作のしやすさやセキュリティも重要です。

また、実施者の選任にも注意が必要です。

安価だからといって飛びついた結果、制度上必要な要件を満たしていないということも考えられます。

ストレスチェックは、単なるアンケートではありません。

制度に沿った形で実施できる体制を整えることが大切です。

高ストレス者への医師面談の体制を整える

ストレスチェックの結果、一定の基準を超えた労働者から申し出があった場合、医師による面談指導を受けさせることが義務付けられています。

そのため、事前に医師面談の体制を整えておく必要があります。

特に小規模事業場では、産業医や外部の医師との連携体制が十分に整っていないケースもあります。

いざ高ストレス者が出たときに、どの医師に依頼するのか。

どのような流れで面談につなげるのか。

どこまで社内で情報を共有していいのか。

こうした点をあらかじめ決めておかなければ、対応が後手に回ってしまいます。

また、思わぬ企業リスクを抱えることにならないよう、面談を依頼する医師の選定にも注意が必要です。

集団分析をもとに職場環境改善へつなげる

ストレスチェックの目的は、個人の結果を把握することだけではありません。

個人の結果を集計・分析し、職場全体の傾向を把握することも重要です。

たとえば、どの部署やチームに負荷がかかっているのか。

どのような働き方がストレス要因になっているのか。

こうした傾向を集団分析によって把握し、実際の職場環境改善へつなげていくことが制度のゴールです。

ストレスチェックを実施して終わりにするのではなく、結果をどのように職場改善に活かすかまで考えておく必要があります。

人事労務が注意すべきストレスチェック運用の2つの落とし穴

ストレスチェックを実施するうえで、特に小規模事業場が注意すべき点があります。

それが、個人情報の取り扱いと、医師の意見への対応です。

小規模事業場では、社長や上司、担当者と従業員の距離が近いからこそ、運用を誤るとトラブルにつながりやすくなります。

その
ストレスチェック結果の個人情報を誰が見てよいのか

ストレスチェックの結果は、労働者本人の同意がない限り、事業主が勝手に見ることはできません。

社長や上司が、本人の同意なく結果を確認することはできないのです。

特に距離感の近い小規模な職場では、

「あの人の結果はどうだった?」

「最近元気がないけど、ストレスチェックでは何か出ていた?」

といった確認が、口頭で行われてしまう可能性があります。

しかし、ストレスチェックの結果は非常にセンシティブな情報です。

人事や担当者が軽い気持ちで共有してしまうと、個人情報の取り扱いとして大きな問題につながります。

そのため、誰が結果を扱うのか、事業主にどの情報を渡してよいのか、本人同意をどのように取るのかなど、情報の壁をしっかり作る運用ルールが必要です。

その
医師の意見に振り回されないための調整力

高ストレス者への医師面談の後、医師から就業上の措置について意見書が出ることがあります。

たとえば、

「残業を減らすべき」
「就業場所を変更すべき」
「業務負荷を軽減すべき」

といった意見が出ることも考えられます。

もちろん、医師の意見は尊重する必要があります。

しかし、現場の業務状況を事前に十分伝えておかなければ、会社として実行が難しい内容が提案されることもあります。

その結果、医師の意見に振り回されてしまい、かえって現場が回らなくなる可能性もあります。

大切なのは、医師の意見を無視することではありません。

医師の意見を尊重しながらも、自社で現実的に対応可能なラインを見極め、職場側と医療側の間で調整することです。

そのためにも、面談を担当する医師との連携や、会社側の情報提供の仕方を事前に整理しておく必要があります。

ストレスチェックを「形だけの実施」で終わらせないために

ストレスチェック義務化に対応するうえで避けたいのは、「とりあえず実施しただけ」で終わってしまうことです。

制度上の義務を満たすことはもちろん重要です。

しかし、本来の目的は、労働者自身がストレスに気づき、必要な支援につながること。

そして、職場全体のストレス要因を把握し、働きやすい職場環境へ改善していくことです。

そのためには、受検システムを入れるだけでは不十分です。

実施体制、医師面談、個人情報管理、集団分析、職場環境改善までを一連の流れとして設計しておく必要があります。

特に小規模事業場では、担当者の人数が限られていることも多く、準備不足のまま運用を始めると大きな負担になりかねません。

2028年4月のストレスチェック義務化に向けて今からできる準備

2028年4月のスタートに向けて、今からできる準備は少なくありません。

まずは、ストレスチェック制度の全体像を把握すること。

次に、自社でどのように実施するのか、システムや外部委託先の候補を検討すること。

そして、医師面談や外部専門家との連携体制を考えておくことです。

システム選びや産業医・外部専門家との連携体制の構築には、思った以上に時間がかかります。

「直前になって大慌て」にならないよう、今から情報収集を始めておくことが大切です。

厚生労働省の特設ページなどにも、ストレスチェック制度に関する情報や小規模事業場向けのマニュアルが掲載されています。

まずは法改正の全体像を確認し、自社に必要な準備を整理するところから始めていきましょう。

まとめ|ストレスチェック義務化は小規模事業場こそ早めの準備が重要

2028年4月から、労働者数50人未満の小規模事業場にもストレスチェックの実施が義務化されます。

これまで努力義務だった事業場にとっては、新たに実施体制を整える必要があります。

受検システムの選定、高ストレス者への医師面談、職場環境改善への活用、個人情報の取り扱いなど、準備すべきことは多岐にわたります。

特に小規模事業場では、従業員との距離が近いからこそ、結果の取り扱いや面談後の対応には細心の注意が必要です。

ストレスチェックを形だけの制度にせず、職場環境の改善につなげるためにも、早い段階から準備を進めていきましょう。

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