2026年9月20日、オヤジラボ主催の「おやじの為の自立入門講座」で講師を務めました。
今回のセミナー内容を考える中で、私自身、一つの大きな気づきがありました。
オヤジラボさんから最初にいただいたご依頼は、「料理が作れるかどうか」「料理を作ろう」「終活に必要な準備」などをチェックリストにしてほしい、というものでした。
もちろん、こうした生活上の準備も大切。しかし、セミナーの内容を考え続ける中で、本当に必要な備えは、「つながり」なのではないか、そう考えるようになりました。
今回の内容はそのセミナーでの気づきをまとめた内容になります。
定年後に起こり得ることを考えてみる

今回のセミナーでは、定年後に起こりがちな状況をロールプレイ形式で体験していただきました。
たとえば、
- パートナーに先立たれた後の生活
- パートナーに認知症の兆候が見られたとき
- 社会との関係が途切れ、引きこもりがちになる定年後の男性
といった場面です。
これらは、私が訪問看護や施設紹介の現場でも日常的に遭遇するテーマです。
元気なうちは、「自分は大丈夫」「何とかなる」と思っていても、家族構成や健康状態、生活環境は変わっていきます。
そして、その変化はある日突然起こることもあります。
生活の「機能」はサービスで補える

現在は、宅配弁当や家事支援をはじめ、生活を支えてくれるさまざまなサービスがあります。
介護が必要になれば、介護保険サービスや専門職による支援を利用することもできます。つまり、生活に必要な「機能」の多くは、外部のサービスによって補うことができます。
でも、それだけで十分なのでしょうか?
私が今回改めて大切だと感じたのは、
- 困ったときに相談できる人がいるか?
- 自分の変化に気づいてくれる人がいるか?
ということです。この「つながり」は、サービスだけでは代替できません。
介護が始まってから「つながる」のではなくコミュニティに参加すること。
顔の見える関係をつくっておくこと。
地域の人や専門職と、ゆるやかにつながっておくこと。
一見すると、介護への備えとは関係がないように思えるかもしれません。
しかし、日頃から人とのつながりがあれば、
- 「最近、少し様子が違う」
- 「一人で抱え込んでいるのではないか」
と周囲が変化に気づくきっかけになります。
本人自身も、
- 「少し困っている」
- 「誰かに相談したい」
と思ったときに、声を上げやすくなります。
問題が大きくなってから初めて相談先を探すのではなく、元気なうちから相談できる人や場所とつながっておく。
それも、将来の介護への大切な備えではないでしょうか。
家族の変化は、「働く人」にも影響する

これは、介護される本人だけの問題ではありません。
たとえば、パートナーや親に認知症の兆候が現れれば、一緒に暮らす家族や離れて暮らす家族の生活にも影響します。
その家族が働いていれば、やがて「仕事と介護をどう両立するのか」という問題にもつながっていきます。
家族だけで抱え込み、周囲とのつながりが少なければ、変化への気づきや相談が遅れてしまうこともあります。
介護が深刻になり、仕事との両立が難しくなってから初めて支援につながるのではなく、もっと早い段階で相談できていたら、選択肢は増えるかもしれません。
私は日頃、介護や施設入居に関する相談に携わっていますが、実際の相談現場でも、早い段階で相談につながることの大切さを感じています。
「つながり」も、介護への備えの一つ
介護への備えというと、
- お金のこと。
- 住まいのこと。
- 介護サービスのこと。
- 会社の制度のこと。
などを思い浮かべる方が多いと思います。もちろん、どれも大切です。
でも、その前に一度考えてみてほしいことがあります。
困ったときに相談できる人がいますか。
あなたの変化に気づいてくれる人がいますか。
そして、あなた自身が、誰かの変化に気づける関係を持っていますか。
介護が始まってからつながるのではなく、元気なうちからつながっておく。
それが孤立を防ぎ、認知症や体調の変化への早期の気づきにつながり、結果として家族が介護を一人で抱え込むことや、仕事を辞めざるを得ない状況を防ぐ一つの備えになるのではないか。
今回のセミナーを通じて、私は改めてそう感じました。
