ガス工事の職人からケアマネージャーへ|介護の仕事に進んだきっかけ

本記事は、福祉クラフト株式会社の代表を務めながら、ケアマネジャーとして高齢者やその家族を支援している石田伸幸さんへインタビューをした内容になります。

石田さんが介護の仕事に携わるようになったきっかけや、ケアマネジャーとして大切にしていること、介護する家族への思い、そして今後取り組んでいきたいことについて伺いました。

この内容は、弊団体が運営するYouTubeチャンネル「Ikigai けあともチャンネル」の動画をコラム化したものになります。

ぜひ動画もご覧ください。

目次

ケアマネジャーとして大切にしているのは「コミュニケーション」

僕が日々の仕事の中で大切にしているのは、コミュニケーションです。

利用者さん本人はもちろん、ご家族や関係者の方、ヘルパー事業所の方、実際に現場で支援されている方など、人とのつながりしかないと思っています。

その中でも大切にしているのが、相手との距離感です。

冗談を言えたり、ツッコミができたりするくらい、いい意味で砕けて話せる関係になれることもあります。

僕自身、昔の先輩などと関わってきた中で、心を開いてくると自然と話し方も近くなっていくと感じてきました。

もちろん、「親しき中にも礼儀あり」なので、誰に対しても同じように接するわけではありません。

僕みたいな人間が苦手なタイプの方もいます。そう感じた時は、自分からある程度距離を取るようにもしています。

誰とでも距離を縮めればいいということではなく、その人との距離感を大事にしています。

もともとは20年間、ガス工事の職人をしていました

僕は高校を卒業してから20年間、ガス工事の職人をしていました。

マンションなどの現場に出て、床暖房や給湯器など、ガス関係の工事をずっとやっていましたね。

そのままずっとこの仕事を続けていくものだと思っていたんですが、結婚して子どもが生まれた頃から、体力的なことも含めて、

「これをいつまでできるんだろう」

と、自分の将来を考えるようになりました。

その頃、母方の親戚が静岡で脳出血を起こして入院しまして、母が熊本出身だったこともあり、家族の中で一番近かったのが神戸に住んでいた母でした。

車も必要だろうということで僕も一緒に行ったんですが、そこで初めて麻痺のある方を見ました。

その時に、

「自分の親がこうなった時、俺は何ができるんやろう」

と初めて思ったんです。

33歳くらいの頃だったと思います。

それから、それまではマンションの仕事が9割くらいだったのに、老人ホームの仕事が来たり、保育園の床暖房を施工したりと、施設関係の仕事が入ってくるようになりました。

その中で住環境コーディネーター2級を取ったりしているうちに、福祉の分野にも興味が湧いてきまして、中学校の同級生に、飲食店をやりながら介護事業をしている人がいた為、その店によく飲みに行っていました。

そこで僕が悩んでいるのを見透かされたような感じで声をかけられたことが、介護の仕事に入るきっかけになったのです。

もともと介護に興味があったわけではありません。

働きながら介護するというのは、絶対しんどいこと

今は両親とも健在ですが、人の手がないと生活が少し苦しくなっている状態です。

まだ僕自身が全面的に介護をしているという状態ではありませんが、場面場面で関わる中で、

「家族の方はこういうところで苦労するんやろうな。」

と思うことがあります。

僕も自分の親なので、感情的になってしまうことがあります。

一歩離れて見られている時には「同じ利用者さんなんやな」と思えるんですが、仕事でギアを上げている時に電話がかかってくると、正直イラッとすることもあります。

本人からしたら、僕が今どんな状態で仕事をしているかは関係ありません。

「何回同じこと言ったら分かるんやろう」と思ってしまうこともあります。

でも、相手が利用者さんであれば、僕はそういうことは思わないんです。

だからこそ、働きながら介護するというのは、絶対しんどいことだと思っています。

介護する側に余力がなくなってしまうと、やったらあかんと分かっていても、感情が出てしまうこともあると思います。

働く人にもそれなりの余裕がないと、いろいろなことはできません。

介護する人たちに余裕がある生活環境があればいいと思っています。

ご家族の話を聞くことを意識し、信頼関係は大事にしています

ケアマネジャーは、その方本人の担当であるというのが大前提です。

その方らしく自宅で過ごしてもらうために、ご家族も支援しているという形になります。

ただ、僕自身はご家族と話をすることもかなり意識しています。

愚痴を聞くこともあります。

僕たちは日中に仕事をしていますが、介護をしているご家族も、その時間は仕事をされている方が多いと思います。

仕事が終わって家に帰ったら、今度は介護をしないといけない。

そうなると、気を緩めるところがありません。

自分を保つためにも、息を抜けるところは必要だと思っています。

介護の仕事をしていると、ご家族の過去の背景も含めて知ることがあります。

旦那さんにも言えない、子どもにも言えない、当然親にも言えない。

そういう話もあると思います。

だから、僕はご家族との話し合いはすごく意識しています。

そこで聞いた話を僕がペラペラしゃべってしまったら、当然信頼は得られません。

その信頼関係は大事にしています。

これまで担当してきた中で、印象に残っていること

これまで担当してきた中で、印象に残っていることもあります。

男の方に多いんですが、昔の世代の方だと、僕たちが行くと子どもより年下ということもあって、担当者というより部下のような扱いになることがあります。

それが悪いわけではないんですが、いろいろなやり取りをする中で、口喧嘩に近いようなことになることもありました。

ある方が施設へ行くことになった時、僕は担当ではなくなるので、

「僕の契約は終わります。向こうへ行っても頑張ってください。」

というつもりで挨拶をしました。

ところが、その方は制度をよく理解されていなくて、僕自身が仕事を辞めると思われたみたいなんです。

その時に涙を流しながら、

「俺が何したんや。辞めるのか。そんな寂しいこと言うな。」

と言われました。

僕もさすがにもらい泣きしそうになり、それまでそんなふうに思ってくださっているとは分かっていませんでした。

僕にいろいろな気持ちをぶつけてくださっていたんだなということが、その時に分かったのです。

仕事のしんどさを聞かれることは多いです。

事務処理のような、いわゆるシャドーワークの話もよく出ます。

でも逆に、

「この仕事をしていて良かったことは何ですか?」

と聞かれる機会は、あまりありません。

僕らも息抜きしながらやっていかないと、メンタルを保てないと思っています。

だから、いいことを思い出すことも大事なんじゃないかと思います。

介護について、もっと早い段階から知ってほしい

これからやっていきたいこととして、介護についていろいろな人に伝えていきたいという思いがあります。

見ていて思うのは、介護する側ももう少し介護の勉強をした方がいいということです。

制度についてもそうです。

例えば、電化製品を買う時や家を買う時は、みんなすごく勉強すると思うんです。

でも介護になった瞬間、丸投げになってしまうことがあります。

もちろん介護について勉強されている方もたくさんいます。

ただ、入り口でうまくいっていない方もいます。

最初にマイナスからスタートしてしまうと、まずゼロに戻して、そこからプラスにしていかないといけません。

僕は、それはあまりしなくてもいい努力なんじゃないかと思っています。

だからこそ、まず介護について伝えることが必要だと思っています。

個人的には、介護の話も義務教育の段階から教えてもいいんじゃないかと思っています。

ケアマネジャーは「ハブ」のような役割だと思っています

僕はケアマネジャーを「ハブ」のような役割だと思っています。

例えば僕自身では踏み込めないことがあれば、そこに対応できる人につなげる。

悩んでいる人がいれば、

「こういう方がいるので、一度話してもらえませんか?」

とつないでいく。

そういう役割です。

そのために、いろいろな会に顔を出して、人とのつながりを広げています。

今すぐそのつながりが必要になるとは限りません。

でも、何かを提案する時に、選択肢が2つしかないのと、10個から選べるのでは違うと思っています。

その選択肢を広げるためにも、自分の知見を広げるためにも活動しています。

そういうものをみんなで分かち合える場もあればいいと思っています。

若い人にも介護の仕事を知ってほしい

会社として考えていることでは、介護の仕事をする若い人が減っていることも気になっています。

どの業界でも、若い人がいるところは活気があると思います。

介護について学べる学校のようなものがあって、

「私もやってみたい。」

という人が増えていけばいいと思っています。

もちろん給与の問題など、国にも頑張ってもらわないといけない部分はあります。

それでも、そういう若い人が増えてくれば、未来も明るいと思っています。

うちでも見学会のようなことはやるようにしています。

実際に体験する機会があってもいいと思うんです。

一度現場を見て、

「実際はどうなんだろう」

と知ってもらう。

そういう入り口をつくることで、介護に興味を持ってもらえるんじゃないかと思っています。

介護している人には、自分自身も大切にしてほしい

介護をしているご家族は、どうしても優先順位が介護される方中心になっていきます。

ご両親なのか、別のご家族なのかは人によりますが、その方を中心に考えるようになります。

でも、僕は自分自身も大事だと思っています。

自分の人生なので、自分を大切にしてください。

家族だからこそやらないといけないこともあると思います。

そこは力を貸さないといけない。

でも、それ以外は他人に任せてもいいと思っています。

ある程度の距離感があった方が、いい関係になることもあります。

「自分がやらなあかん」という使命感だけではなく、任せるという考え方も一度持ってほしいです。

では誰に相談すればいいのかとなった時に、僕らのような人間がいます。

今はネットでもいろいろな情報が出ています。

そういうところを使いながら、まずは話をしていくことから始めてもらえたらと思っています。

この記事を書いた人

一般社団法人「けあとともに」は、中小企業の経営者・人事担当者向けに介護離職対策を支援する非営利団体です。

一つの専門領域だけでは対応しきれない問題である、「社員の心のケア」から「組織文化の醸成」まで、

組織開発コーチ、ファイナンシャルプランナー、看護師、産業保健コンサルタント、両立支援コーチ、など多職種の専門家チームがワンストップでサポートします。

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